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設立以来50年以上にわたり新幹線から在来線に至るまであらゆるPCまくらぎの製造に係わり、安全・安定・快適な輸送を支えるという使命を果たしてきました。
事業案内

職人技術

打ちづらいコンクリートにすればするほど良いPCまくらぎができるのです。

【第3回】

鉄道の安全性を確保するためなら
とことん提案する。

関西の私鉄ではPCまくらぎへの交換は進んでいますが、やはり地方の私鉄ローカル線などは苦労されています。 「老朽化の問題が起きているのですが、何か良いアイデアはありませんか」との問い合わせなどもよくあります。 まだ37kg~40kgのレールを使われている路線もあったりします。そういうところにいきなりコンクリートまくらぎを持っていっても、 「本当に37kgレールが留まるんだろうか?」 「木まくらぎなら犬釘を打ち込めばどうにかなるが、 コンクリートだと容易ではないのでは?」と疑心暗鬼になる。 そういう時は、PCまくらぎと37kgレールに合う締結装置も一緒に持っていく。 そしてレールや軌間をきっちり測って納得していただく。やはり細かく対応してあげれば先方も安心しますよね。

私たちが作っているのは
PCまくらぎという「安全・信頼」です。

私たちの仕事は「指定されたまくらぎを納品して終わり」というような単純なことではないのですね。 現場やレール、締結装置などの知識・情報をしっかり理解した上での臨機応変な考えと対応力が必要になってきます。 ただ企業の利益を優先して、対応できないものまで簡単に「できます」と言うような安請け合いは絶対にしない。 例えば締結装置のメーカーなどとも蜜に確認を取りながら的確な部品を提案する。 それで初めて現場にPCまくらぎを設置してレールを締結できるのです。 少しでも油断やミスがあれば大変なことになる。 多くのお客様を乗せて走る公共の交通機関ですから列車を脱線させるわけにはいかない。 極端に言えばその姿勢こそが、50年以上PCまくらぎを作り続けている私たちなりの商売の強みでもあるのです。 だから、少々厳しい条件であっても確実に、かつ的確に対応していくことが信頼関係につながります。 鉄道会社さんと互いに安全性についての意識、思いが共有できている。いわばWINWINの関係性が構築できるのですね。 商売の強みにもなっている対応力・提案力は、鉄道・線路の知識や鉄道事業各社の路線の特長などの知識も必要になるのですが、 真剣に取り組んでいく中で自然に身につきました。経験というか、 長く実直にやってきたからこそ、色々な知識・ノウハウを蓄積できました。 最近では、鉄道事業各社と相談しながら先方の設計意図に対して、「こういう技術がある、 こういった方法がある」とアドバイスさせてもらって鉄道会社オリジナルのPCまくらぎを作るというケースも増えてきていますね。 列車の軸重など国内の路線ならほとんど理解しているので、その仕様に則って性能を対応させていっています。 今までは設計してなかったのですが、ここにきて本格的な設計などにも対応し始めています。

PCまくらぎのあるべき正しい姿を
追い求め続ける。

ローカル線を含めてまくらぎを交換した路線は必ず乗ります。JR西日本さんならほとんど全線乗っています(笑)。それこそ昔は、あちこち遠くの所まで時間をかけて見に行きました。自社のまくらぎを見るのはもちろんなのですが、他社さんのものであっても「どんな材料のまくらぎが使われているのか」「今どういう状態にあるのか」と注意深く見て回りました。だからこそ“まくらぎのあるべき正しい姿”というものが見えてきます。

【第2回】

打ちづらいコンクリートにこそある
PCまくらぎの安全性・信頼性。

生コン 見た目には一般的な構造物に使われている
“生コン”と同じに見えますが、PCまくらぎのコンクリートは全く別物。特殊なのです。構造物に使われる生コンのようなコンクリートは、基本的には打ちやすいコンクリートでないとジャンカ(豆板・空洞・巣)ができて欠陥品となるので、流動性を高めた、どんな所にでも入っていく、なるべく打ちやすいコンクリートなのです。PCまくらぎの場合はまったく逆です。現場の人が打ちづらいコンクリートにすればするほど良いものができる(笑)。
まくらぎのコンクリートというのは基本的には、外から力が加わったときに形状の変化が少ない、いわゆる“弾性変形”が小さいものを作らなければならない。そのためにはまず糊の役目をするモルタル(セメントと砂(細骨材)を混ぜたもの)は、弾性変形が大きくなるのでできるだけ少なくする。そして骨材となる砂利(粗骨材)をなるべく多く使う。これが重要です。普通のコンクリートでは非常に打設しづらくなるので、それほど砂利は入れません。しかしPCまくらぎではできるだけ大きい砂利を多く入れ、弾性変形を極限まで小さくしていく。そうするとコンクリートの中で砂利が積み木のように組み合わさり、非常に打設しづらくなるのですが、それを何とか苦心して打設するわけです。上からバサッと入れてバイブレータで締め固める。さらに上から下まで砂利が同じバランスになるようにする。これがPCまくらぎにとっての生命線なのですが非常に難しい作業となります。だから打設の際の“ならし”などは相当の技術・経験がいる。砂利の大きさ、量、モルタルの配合加減、打設の技術に至るまで、そんなこだわりや技術を込めて作ったコンクリートの断面を見ると、積み木を重ねたように大小の砂利が、面と面を合わせてきれいに均等に並ぶのです。それがPCまくらぎの性能を決める、と言っても過言ではありません。少しでも楽をして柔らかいコンクリートで打ったら、砂利の層がバラバラになる。粗骨材を少なくすると今度は衝撃吸収力が落ち、PCまくらぎの耐久性が劣ることになります。
また、昭和39年に東海道新幹線が開業した際に作ったPCまくらぎなどは、ノースランプといって水が少ししか入っていないパサパサのコンクリートを強烈な振動で締め固めて作りました。当時はまだ良い混和剤がなかったので、本当に振動のみで締め固めた。そのPCまくらぎはやはり50年経っても健全なのですね。だからやはり打ちづらいコンクリートがまくらぎには一番良いのです。ただ東海道新幹線では、レールからの車輪の逸脱を防ぐ「軌間内ガード」を取付けるため、まくらぎ自体を全数交換されています。まだまだ現役で使えるので、非常にもったいないといえばもったいない話ですが、高速性能アップや安全性のためには仕方がないことです。

それでも進化を続けてゆく。
100%の安心・安全のために。

私たちは今、50年経ったまくらぎの5年ごとの劣化を調べています。実際の線路から持ち帰っているのは1956年頃に製造された国鉄2号PCまくらぎなのですが、製造から57、8年経っていてもまったく健全な状態のものもあります。まくらぎメーカーとしては50~60年もってしまう製品を作るというのはもちろん誇りではあるのですが、いずれ作るまくらぎがなくなってしまうんじゃないかと不安になります(笑)。事業として成り立たないんじゃないか、と(笑)。それこそ国鉄3号PCまくらぎは1961年から作られて今でも主流のままです。
しかし当然、時代とともに車両も変わり、スピードも変わり、路線環境も変わってくる。だからそれに合わせた形に作らなければならない。でなければ車両ばかり進化して下の部分は何も変わらないのでは意味がない。まだまだこれから新しいものが出てきます。例えば、JR西日本、大和軌道製造、当社の3社で開発したゴムパッドを組み合わせた最新の連結PCまくらぎ。安全性、周辺環境への考慮などにより、在来線などの都心を走る路線に採用されています。特に大阪のJR環状線では線路長手方向への軌きょう剛性を大きくし、メンテナンスフリー(保守量低減)、地盤振動の低減に有効な連結まくらぎです。騒音などに注意しなければならない地域・路線での切り替えが優先的に進められますね。

【第1回】

時代が求める性能として
PCまくらぎが全国の線路を支える。

まくらぎと言えば昔は“木”のイメージがあると思いますが、コンクリートまくらぎの製品化は意外と早く1951年くらいから始まります。
世界的には1920年代にはRC(Reinforced Concrete)PC(Prestressd Concrete)のコンクリートまくらぎは研究されていて、PCが日本に入ってきたのが戦後まもなくです。その後1959年頃から本格的にPCまくらぎが生産されます。木まくらぎのピークは1961年くらいですね。その頃から急速にコンクリートまくらぎに換わります。例えばJR西日本では現在、本線などではほぼPCまくらぎです。今、木まくらぎが残っているのは下級線くらいで、毎年、数万本交換されています。
本来、木まくらぎの方が性能的には良いのです。要するに軽くて柔らかくて丈夫なのですが、ただ問題になるのが耐久性。腐りやすいため、まくらぎとレールを固定する犬釘が抜けやすくなる。そうなると線路にとって命とも言うべき軌間、すなわちレール間隔が保持できなくなるため、安全性の問題から交換頻度がどうしても高くなる。
しかし昨今の世界的な環境意識の高まりから木の伐採が難しく、製品となる木が入手困難になっている状況下ではそう頻繁には交換できない。コンクリートにならざるを得ないのですね。そのような理由もありコンクリートまくらぎが主流になっています。その流れを受けて鉄道事業各社では、PCまくらぎに換えていこうという動きが盛んになり、ローカル線においても木のまくらぎと同じ厚さのコンクリートまくらぎを開発して交換が進んでいます。やがては全国の路線のほとんどがコンクリート、PCまくらぎになるでしょうね。

軌間・種類も様々なJR・私鉄各社の
まくらぎ製造にきめ細やかに対応。

まくらぎの種類は鉄道事業各社によって、あるいは同じ鉄道会社でも路線によって違う場合もあります。それはまず線路の軌間が同じではないからです。軌間1,435mmの「標準軌」を軸に、それより狭い「狭軌」、それよりも広い「広軌」があります。
日本の場合、JR在来線が狭軌、新幹線が標準軌。私鉄各社では路線によっては狭軌もありますが、標準軌が結構多い。関西の私鉄では関西鉄道協会型という2種類のまくらぎで統一されているのですが、それを各社で色々アレンジを加えていますから、やはり多くの種類にはなります。
さらにまくらぎは路線の状況によっても求められる性能が変わってくるため、様々な種類ができてくる。だから私たちが製造しているPCまくらぎは一般的なものだけでも20種類程あり、特殊なものを含めると40種類以上になります。
例えば、カーブが多い路線は、外側のレールを内側より高くする「カント」が多く用いられますが、これによってカーブを安定して通過でき、また乗り心地が向上するのです。このカーブの区間を車両がスムーズに曲がるためには、車輪が抵抗なくレールを走れるように、少しだけレールの幅を広げます。これをスラックと呼ぶのですが、直線区間の軌間とは異なってくるため、当然まくらぎも対応しなければなりませんので、線路の幅は重要です。
鉄道事業各社によってさまざまな種類があるまくらぎは、さらに製造の過程で試作品も数多く作ります。あれこれと試行錯誤を繰り返す中、完成品が生まれるのですが、残念ながら出来上がってもまったく使用されない場合もあります。 そういう意味では 今、各路線に巡らされている数多くのPCまくらぎたちは、選び抜かれた創意工夫の賜物、先鋭の製品たちなのです。たまに同じまくらぎなのに「他社と比べてここをちょっとだけ変えてくれ」というだけのオーダーもあります。それは「同じものは嫌」という担当者さんの好みだけだったりするのですが(笑)…。